【2026年問題】労働基準法が激変!「14連勤禁止」など40年ぶりの大改正にあなたの会社は対応できますか?
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目次
ポイント1:「14日以上の連続勤務」が完全に禁止へ
ポイント2:「法定休日」の特定が義務化される
ポイント3:ついに法制化へ「つながらない権利」
セクション1
「繁忙期だから連続勤務も仕方ない」 「休日に上司から連絡が来るのは当たり前」
これまで日本の多くの企業で「常識」とされてきた働き方が、根底から覆されようとしています。
現在、厚生労働省の審議会では、昭和62年以来、約40年ぶりとなる労働基準法の大規模な改正に向けた議論が大詰めを迎えています。早ければ2026年にも施行される見通しです。
今回の改正は、これまでの「抜け穴」とされてきた部分を塞ぐ厳しい内容が多く含まれており、何も対策をしなければ、「知らぬ間に法律違反(ブラック企業認定)」という深刻な事態に陥るリスクをはらんでいます。
本記事では、すべての経営者・人事担当者が今すぐ知っておくべき法改正のポイントの中から、特に影響の大きい「3つの激変ポイント」を分かりやすく解説します。
今回の法改正は多岐にわたりますが、特に企業の勤怠管理や労務体制に直接的なインパクトを与える3つの変更点に注目しましょう。
従来のルールでは、「変形休日制」という例外規定がありました。 これは「4週間に4日の休日」さえ確保されていれば、理論上は最大で48日間の連続勤務も可能というものでした。この規定が、これまで長期プロジェクトや繁忙期のシフトを支える「抜け穴」として機能してきた側面は否めません。
しかし、改正後はこの考え方が一切通用しなくなります。
新しいルールでは、いかなる理由があっても14日以上の連続勤務が禁止され、最低でも2週間に1回は必ず休日を設けなければならなくなります。
▼ 企業への影響 この変更は、特に以下の現場に極めて大きな影響を及ぼします。
長期出張やイベント対応がある業種
季節的な繁忙期がある業界
24時間体制のシフト制を敷いている現場
これまでと同じような人員計画では、法律違反となる可能性が非常に高いため、根本的な人員配置の見直しが急務となります。
特に、24時間稼働の工場や介護現場などでは、日本人の採用難も相まって、シフトの穴埋めが限界を迎えています。
「14連勤禁止」を遵守しながら業務を回すには、豊富な母集団を持つ「外国人材」を戦力として組み込み、余裕のあるローテーション体制を構築することが、現実的かつもっとも有効な解決策となるでしょう。

休日には、労働基準法で定められた「法定休日」と、会社が独自に定める「所定休日」の2種類があります。
休日に労働した場合の割増賃金率は、以下のように異なります。
法定休日: 1.35倍
所定休日: 1.25倍

これまでは、どちらの休日なのかを明確にせず、事後的に会社が判断する(安い方の1.25倍を適用するなど)、といった曖昧な運用が横行していました。
今回の改正で、この曖昧な運用が禁止されます。 改正後は、就業規則などで「法定休日は日曜日とする」というように、あらかじめ曜日を特定することが義務化されます。
▼ 企業への影響 これにより、企業は労務管理の透明化を迫られます。例えば「法定休日は日曜日」と定めた場合、その日に従業員を出勤させれば、必ず35%増しの割増賃金を支払わなくてはなりません。
給与計算の厳格化はもちろん、休日出勤の指示そのものを、より慎重に判断する必要が出てくるでしょう 。
勤務時間外に上司から業務連絡の電話やメール、LINEが届き、対応せざるを得ない——。
そんな経験はありませんか。今回の改正では、こうした慣行に歯止めをかけるためのルールが導入されます。
具体的には、以下の権利や制度の法制化に向けた議論が進んでいます。

▼ 企業への影響 この変更は、単なるルール作り以上の、企業文化の変革を求めるものです。「いつでも連絡がつき、すぐに対応してくれる社員」を高く評価するような従来の価値観は、これからの時代、コンプライアンス上の重大なリスクと見なされるようになるでしょう。
ここまで読んで、「うちは完全週休2日制(土日休み)だから関係ない」と思われた方もいるかもしれません。しかし、その考えは非常に危険です。
繁忙期に「今週の土曜だけ出勤してほしい。来週の土曜もお願い」という指示を出すケースはないでしょうか。 月曜から金曜まで働き、さらに2週連続で土曜日も出勤すると、それだけで12日間の連続勤務となります。従業員の勤務日数を正確に把握・管理していなければ、意図せず14日以上の連続勤務をさせてしまうリスクは十分にあります 。
「管理職は労働時間規制の対象外だから大丈夫」というのも誤解です。 過重労働によって管理職が心身の健康を害した場合、企業は安全配慮義務違反に問われる可能性があります。勤務間インターバル制度の強化などは、役職に関わらずすべての従業員の健康を守るためのものであり、管理職の働き方にも大きな影響を与えることになります 。
💡「働ける時間」が減る時代の切り札は「外国人材」
今回の法改正は、実質的に「一人の社員が働ける総時間数が減る」ことを意味します。これまで長時間労働や連勤でカバーしていた業務量を維持するためには、「人員の補充」が避けられません。 しかし、国内の労働人口は減少の一途をたどっています。そこで今、多くの企業が注目しているのが「外国人材の活用」です。
実は、今回の法改正でルールが明確化されることは、外国人材の採用において追い風となります。
ルールの明確化: 「法定休日」などの特定は、曖昧な指示を嫌う外国人材にとって「働きやすい環境」と映ります。
グローバル基準へ: 「つながらない権利」や「インターバル制度」は海外では標準的な考え方であり、優秀な外国人材を惹きつける要素になります。
法改正対応でコンプライアンスを強化することは、同時に「外国人材から選ばれる企業」へと進化するチャンスでもあるのです。
ご紹介した3つのポイントは、日本の働き方を大きく変える、まさに「激変」と呼ぶにふさわしい内容です。施行は2026年頃と予想されていますが、「まだ時間がある」と考えるのは早計です。法改正への対応には、周到な準備期間が必要です。
今から着手すべきは、以下の3点です。
新しい法律が施行されてから慌てるのではなく、今のうちから新しい時代のスタンダードに適応する体制を整えていくことが、企業の持続的な成長とリスク管理において不可欠と言えるでしょう。
「あなたの会社の就業規則は、新しい時代の働き方に適合していますか?」


