契約外の業務をさせるのはOK?派遣社員を守るためのおさえるべきポイント
- ブイエヌサービス

- 2024年11月6日
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更新日:6 日前

目次
2-1. 派遣の「3者関係」を正しく理解する
2-2.「基本契約書」と「個別契約書」の決定的な違い
2-3. 契約書に記載される主な内容【重要】
3-1. なぜ契約外業務は「法律違反」になるのか?
3-2. 【実務の境界線】 どこまでが「柔軟な対応」で、どこからが「違反」か
4-1. NG行為:派遣スタッフに対する「それはダメ」な禁止事項
4-2. 現場担当者が取るべき「合意形成フロー」(業務変更の正しい手順)
派遣社員の雇用が増える中で、企業は派遣契約に基づき派遣スタッフを受け入れています。しかし、現場では契約書に書いていない業務を「ちょっと手伝って」と依頼することが、しばしば見受けられます。
この「たったこれだけの作業だから」という現場の安易な判断が、後々大きなトラブルの種となります。これは、派遣スタッフにとって不公平な労働環境を生むだけでなく、貴社も行政指導や罰則につながる法的リスクを抱えることになるからです。
この記事では、契約外の業務を依頼する際の注意点や、派遣スタッフに対するNG行為の具体的な線引きについて解説し、法律の知識がない現場の担当者様でも、トラブルを避けるための実践的な判断基準を身につけられるように紹介します。
労働者派遣は、派遣元企業(雇用主)、派遣先企業(指揮命令者)、そして派遣社員(労働者)の3者で成り立っています。
ポイントは、雇用主は派遣会社(派遣元)であり、貴社は業務の指示を出す立場(指揮命令者)であるという点です。 賃金や労務管理の最終責任は派遣元にあるため、貴社が勝手に業務内容を変更することはできません。

通常、派遣契約は2段階で結ばれます。業務の範囲を定めるのは主に「個別契約書」です。
基本契約書(総合的なルールブック): 労働者派遣に関する全般的な共通ルールを定めた、包括的な契約。
個別契約書(具体的お約束シート): 具体的な業務内容、就業場所、期間、就業時間など、派遣社員一人ひとりについての条件を定めた、短期的な契約。
労働者派遣基本契約書と個別契約書には、法令で定められた以下の重要な項目が含まれます。
派遣社員に契約外の業務を依頼することは、派遣法が定める「適正な就業条件を保証する義務」に反する行為です。個別契約書に記載されていない業務を強制することは、以下の問題を引き起こします。
契約違反: 派遣社員が個別契約書に記載されていない業務を行うことは、契約そのものに違反します。
派遣法違反: 契約外の業務を強制することは、労働者派遣法違反にあたる可能性があり、行政指導や改善命令の対象となります。
すべての契約外業務が違反となるわけではありません。現場での判断基準は、その業務が「付随業務」(主たる業務のオマケ作業)として許容されるかどうかにかかっています。
派遣スタッフには、適切な対応が求められます。以下の行為は避け、トラブルを未然に防ぎましょう。
業務内容の変更が必要になった場合は、以下の手順を必ず踏んでください。
派遣スタッフとの個別協議: 業務変更の必要性、期間、負荷について、まず派遣スタッフ本人に説明し、合意を得る。
派遣元企業への相談と依頼: 派遣スタッフの合意を得た後、必ず派遣元の営業担当者に連絡し、変更内容を通知・承認を得る。
正式な契約変更手続き: 派遣元との間で「労働者派遣個別契約書」を正式に再締結する。
派遣社員を受け入れる企業は、契約内容を明確にし、派遣スタッフとのコミュニケーションを大切にすることが重要です。これにより、トラブルを未然に防ぎ、円滑な労働環境を築くことができます。
派遣スタッフが安心して働ける環境を提供することで、企業の競争力向上にもつながります。企業側がしっかりとしたサポート体制を整え、派遣スタッフとの信頼関係を築くことが大切です。


